チタンという素材は、強度、軽さ、耐食性を備え、さらにニッケルを含まないので、メガネのみならず様々な分野で活用されている金属です。しかしバネ性が少ないこともあり、より掛け心地のよいメガネを開発する為、柔軟性の高いβチタンや、形状記憶性を備えたNT合金など様々なチタン合金が、メガネ素材として使用されてきました。ただ、それらの素材はいずれもメガネとは違う分野で開発された素材です。その為、理想のメガネを創るには、不十分な点があることも確かでした。

私共シャルマンは、これまで、より掛け心地のよいメガネを皆様へ提供しようと、チタン加工技術をはじめとし、さまざまな研究を重ねてきました。そのなかで、理想的なメガネを創る為には、素材そのものから開発することが必要であると考えたのです。そして、金属研究の世界的権威である東北大学金属材料研究所と私共シャルマンの8年に渡る研究開発の結果完成した素材、それがこのエクセレンスチタンです。この素材を使用することにより、包み込むようにソフトな掛け心地で、しかも購入時の掛け心地が長く持続するという、まさにメガネにとって理想的なベネフィットを兼ね備えることができました。

エクセレンスチタンはメガネにとって理想的な素材ですが、もうひとつの大きな技術開発がなければ、そのベネフィットを最大限に生かすことはできませんでした。それが、シャルマングループと、レーザ接合の世界的権威である大阪大学の接合科学研究所、そして、ふくい産業支援センターが共同で5年間をかけ確立した、最先端の光加工技術(レーザ微細接合)です。

これまでメガネに用いられていた溶接方法は、熱影響部分が広く、金属の軟化する部分が大きかった為、小さな部品の接合では、接合強度に影響がでる場合もありました。しかし、シャルマングループが産学官の共同研究で開発した最先端の光加工技術(微細レーザ接合)は、非常に小さな点で接合することができる為、小さな部品でも接合部分が鈍ることなく接合することが可能です。しかも、ろう材を使わずに母材同士を直接接合するので、ろう離れを起こすことがなく、高い強度で接合できるというメガネフレームの微細な加工に最適な技術なのです。

シャープペンシルの芯ほどの細さの素材も接合可能

メガネに大きな進化をもたらせることになったエクセレンスチタンと最先端の光加工技術(レーザ微細接合)。その功績が認められ、シャルマンの技術者グループは、2012年第4回ものづくり日本大賞の産業・社会を支えるものづくり/製品技術開発部門にて、特別賞を受賞いたしました。

内閣総理大臣表彰制度である「ものづくり日本大賞」は、日本国内において高度な技術的課題を克服し、従来にない画期的な製品・部品や生産技術の開発・実用化を実現させたグループを表彰するもので、当社社員のほか、東北大学総長(現 総長特別顧問) 井上明久氏、大阪大学教授 片山聖二氏などを含めた、計9名のグループでの受賞となります。

「ものづくり日本大賞」とは

「ものづくり日本大賞」は日本の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」を着実に継承し、さらに発展させていくために経済産業省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の4省連携により、2005年8月に創設され、2年に一度開催している表彰制度。

http://www.monodzukuri.meti.go.jp/